新たな宿泊施設もオープン間近の注目プレイス
「サステナビリティ」は今の時代を代表するキーワード……かもしれないが、それはあくまでも(一過性の)流行やトレンドではなく、未来に向かって文字通り “持続していくべき”ものでなければ意味はない。ともすると人気集めのPR用語としてこの言葉が一人歩きしているケースも目にするが、この“サステナビリティ”の真意をリアルに実践しているのが、千葉県木更津市にある「クルックフィールズ」だ。
萩原祥吾 SHOGO HAGIWARA
読売新聞の英字紙『The Daily Yomiuri』で記者として映画、アート、サッカーなどを担当した後、イギリスの出版社Haymarket Media Group(本社ロンドン)に転職。以後、編集者として働き『エスクァイア日本版』を経て独立。現在は、国内外の各種メディアやクリエイティブエージェンシーでエディトリアル制作や広告のディレクション、編集、執筆、翻訳などの仕事を日本語・英語の両言語で行う。旅行クチコミサイト『トリップアドバイザー』日本版立ち上げにも携わったほか、日本企業のウェブサイト、CSRレポートやプレゼン資料の英訳・英語制作も手がける。
このように書くと、なにやら生真面目でお堅い研修施設のようなものを想像してしまうかもしれないが、この「クルックフィールズ」はその真逆にある。目に眩しい緑があふれる約30ヘクタールの広大な土地に広がる自然と青空と美食のテーマパークで、カップル、ファミリーをはじめどの世代にもフレンドリー。さらにはデイビット・ホックニー、アニッシュ・カプーア、草間彌生など世界的アーティストによる芸術作品まで、軽く散歩をしながらそのすべてを堪能できるのだ。東京都内からであれば、たった1時間のドライブでこれだけ盛りだくさんのコンテンツを楽しめる場所はそう多くない。
主宰するのは音楽家・音楽プロデューサーの小林武史さん。サザンオールスターズ、Mr. Childrenなど日本を代表するバンドを手がけてきたことで知られるが、その小林さんが同様に“プロデュース”する「クルックフィールズ」は、人、農、食、アートの“協奏曲”をテーマとし、地球と共生するサステナブルなこれからの暮らし方を深く体験できる場所として2019年にオープンした。
ニワトリ、ヤギ、乳牛を飼育する養鶏場や酪農場、季節の野菜やハーブを育てる畑やビニールハウスの数々、さらにはメダカ、ドジョウ、ゲンゴロウが棲むビオトープなど、「クルックフィールズ」内を歩いてみると、ここで行われる営みのすべてが持続可能な“環”となるよう設計されていることが分かる。そしてこの環の恩恵を誰もが楽しめるように具現化したのが、点在するレストラン、ベーカリー、シャルキュトリーなどで提供される“食”の数々だ。
文字通り「採ってだし」の野菜、ハーブ、卵、フレッシュチーズを使い薪釜で焼いたピザ、地元・木更津の森で駆除された鹿や猪を丁寧に捌いて作ったソーセージの数々、また同じく養鶏場・酪農場から直で届けられた卵・ミルクを使った(見るだけで心躍る!)絶品シフォンケーキやソフトクリームなど、サステナビリティの真の姿を五感で体感しアートを全身で鑑賞する合間に舌鼓を打てる美食が盛りだくさん。これだけのためにでも訪れる価値があるといって過言ではないだろう。
さらに、2022年秋にはこれまであった宿泊施設「タイニーハウスビレッジ」に加えて、“創る暮らしを体感するヴィラ”として、「COCOON(コクーン)」がオープン予定。「ミナ ペルフォネン」で知られるファッションデザイナー・皆川明氏を迎え、「おもてなしを受ける体験だけではなく、環境、農業、生き物たちに触れ、命の繋がりを感じながら、自然と心地よく能動的にここでの体験に向かうことのできるような場」となる試みをさらに前進させている。
サステナビリティという太い幹を中心に据えつつ、その枝葉が年々進化・成長を遂げている「クルックフィールズ」。この新たにできる「COCOON」を通して、「クルックフィールズ」での環境に配慮した体験をさらに深める充実したステイが楽しめるに違いない。
クルックフィールズ
〒292-0812
千葉県木更津市矢那2503
https://kurkkufields.jp/