新型クラウンの話題の前に、余談だが、私の父は5代目、7代目、8代目、10代目(マジェスタ)とクラウンを乗り継いだ筋金入りのオーナーで、「いつかはクラウン」その言葉に完全に心酔しきっていた一人だ。そういう訳で、小さな頃から新しいクラウンが我が家にやってきたときの、その真新しさに驚いた記憶がたくさんある。そして、ロイヤルサルーンに似つかわしくない若者が免許を取得して、初めて何やら大人の道具を手に入れた実感(自分のものではないが)と、遠くに冒険に行けることが嬉しくて、夜な夜な堂々と父の車を拝借して、西へ東へと走り回ったのだった。自分にとっての移動の原体験はクラウンにあると言っても良いのかもしれない。
クラウンの「型」破り
さて、そんな懐かしい家族のようにも感じてきたクラウンが今日生まれ変わった。当初はマイナーチェンジという既定路線でリフレッシュするはずだったプロジェクトは、変化する時代の中でブレイクスルーを果たしてきたクラウンの革新と挑戦の歴史にふたたび挑み、クラウンの「型」を破って刷新した。
ワールドプレミアでアンヴェイルされた新型クラウンを見てようやく“DISCOVER YOUR CROWN.”のコピーに合点がいった。トヨタのフラッグシップは現代の多様性の象徴とも言えるように、セダンとSUVー2つの時代の流れを大胆に融合した「クロスオーバー」を筆頭に、「セダン」、「スポーツ」、「エステート」の4つのスタイルで登場。
ファーストリリースとなる「クロスオーバー」は、あえて20代中心の若手デザイナーを起用して、大径タイヤにリフトアップした迫力あるスタイルと、一文字のデイライトなどシンプルでモダンな意匠との鮮やかなコンビネーションを実現した。
パワーユニットは全てハイブリッドで、[2.4リッターデュアルブーストハイブリッドシステム(CROSSOVER RS)]と[2.5リッターハイブリッドシステム(G, X)]を搭載し、伝統のFRをやめて、全車に電気式4WDの[E-Four]または[E-Four Advanced]を採用。また車速に応じて後輪の向きを調整する[DRS]を搭載するなど、フラッグシップにふさわしい走りのイノヴェーションを果たしている。
そしてこの新型は国内に留まらず、多様性ある世界40の国と地域で販売もしていく。この先もまだまだ大きな話題をさらいそうなクラウン。日本の底力が世界を刺激する瞬間をこの目で見てみたい。