自動車業界におけるカーボンニュートラルの解決策はEVだけではない。サステナビリティを重要視し、持続可能な未来に向けて活動を続けるポルシェ。その一環として、オーナー自身が参加してカーボン・オフセットに取り組めるプロジェクト「Porshe Impact(ポルシェ インパクト)」がスタートした。

「ポルシェ インパクト」は、デジタル戦略を担当する子会社ポルシェ デジタルとポルシェAGが共同で推進するサービスだ。世界的な排出ガス削減プロジェクトをリードするサウスポール社によって認定された複数のカーボンオフセットプロジェクトに、ポルシェオーナー自身が直接投資をすることが可能となった。ガソリン車の走行によって発生するCO2の排出量を、ドライバー自身がオフセットできる機会をメーカーがユーザーに提供する仕組みだ。

国内ではポルシェジャパンによるオリジナル日本語フォーマットが用意されている。

やり方はまず、自身のポルシェ車のCO2排出量とオフセット値(推定される走行距離と車両の燃費に基づいたもの)をポルシェのウェブサイト上に数値を入れて算出する。その推定値に基づいて、4つの国際的な排出ガス削減プロジェクトから1つに投資をするという流れだ。
4つのプロジェクトとは「生物多様性」「風力」「水力」「J-クレジット制度を通じた支援」。この4つから自身が支援したいものに投資することで、CO2排出量をオフセットできる。

「生物多様性」は、ジンバブエとザンビアの国境に近いカリバ湖南岸にある約785,000ヘクタールの土地の広大な森林や絶滅危機にある多くの生物種を守るもの。「風力」は、台湾の西海岸にある風力発電所への支援、「水力」は、ベトナム中央部クアンナム省のヴォング側のほとりにあるザフング水力発電所への支援へと繋がる。

「生物多様性」はカリパ湖南岸の広大な森林と生物種を守るプロジェクトだ。

また、サウスポール社との取り組み以外のものとして、日本では「J-クレジット制度を通じた支援」のプロジェクトも。J-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組みによる、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として日本国が認証しているもの。
風力、太陽光、バイオマス、森林および土地を利用した再生エネルギー効率を高め、再生可能なエネルギーを生成するためのより多くの技術導入が可能になる。とくに、日本においては福島原発事故後の化石燃料の輸入増加を受け、国がエネルギー対策と温室効果ガス削減の公約を実行するために非常に重要なものとなる。

自動車メーカーによるエミッションコントロールだけではなく、ユーザー自身が美しい大地を守っていくキッカケとして機能することを期待したい。

ポルシェは2030年に「クライメート・ニュートラル(気候中立)の達成」を目指しており、「持続可能性は、全体論として経済的、生態学的、および社会的に私たちのストラテジー2030の重要な要素です」と、ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメはコメントしている

サステナブルな未来へ向けた取り組みが、社会や生活の要になってきている今。ポルシェジャパンでは、車両/チャージングサービスを通じて発生するCO2のオフセットにも取り組んでいるが、メーカーがエミッションコントロールをするだけでなく、ドライバー自身が積極的に参加することで、社会貢献や環境に対する意識をより高める……。そんな一体化した社会との「関わり方」が、これからは重要になってくるだろう。

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