一流店出身のふたりが小田原に店を構えたのには理由があった
「新しい地方料理」と銘打たれたのが、小田原の「MECIMO(メシモ)」。2018年10月にオープンしていらい、うまいもの好きに注目されている。シェフは大阪「HAJIME」で、ソムリエ兼サービスは南青山「NARISAWA」で研鑽を積んだひとたち。
もちろん、たんに肩書きだけでない。味はすばらしく、居心地もよい。すぐ予約で満席になってしまうのには、ちゃんと理由があるのだ。取材のときは、フェラーリで東京からやってきたゲストもいた。



ランチタイムはややカジュアルなコースもあって、若いゲストが多い。それも空気がはなやいで、いい雰囲気であるいっぽう、ディナータイムはテーブルクロスがかけられ、ロウソクの明かりがしっとりしたムードを作り出してくれる。東京にあったら、すぐ予約のとれないレストランになりそう。
「立地としてわざわざ小田原を選んだのは、漁港もあるし、肉も充実し、野菜も豊富な場所だからです。地元の食材が充実していて、それをゲストのかたに味わっていただくのが楽しいんです」
ソムリエ兼サービスの山本良憲さんは、「東京でなくてもいいレストランができる」理由をそう説明してくれる。山本さんと共同経営者を務めるシェフの葛窪拓真さんとは、ふたりとも神奈川出身という共通点を持つ。とくに山本さんは出身地が小田原。
山本さんがかつてソムリエを務めていた「NARISAWA」のNシェフがいっきに名を成したのは、かつて小田原に開いていたレストラン。そんな事柄を思い起こすと、東京から1時間ほどのドライブで行ける小田原は、美食を創造するのにいい場所なのかもしれない。



世界的に知られた「HAJIME」で腕を磨いた葛窪シェフは、フランスやイタリアの料理の技法を駆使しながら、素材の味を活かすことを心がけているという。野菜は瑞々しく味は強い。魚介は生もあり炙りもあり素揚げもあり。日本料理の技法も採り入れて、(生を含めて)火の使いかたで最善の味が追求されている。
地元にこだわりすぎるレストランの”あるある”は、メニューの内容が限られてきて、悪くいうと料理が貧相になりがちなこと。「MECIMO」はちがう。超がつく一流店出身の二人だけに、そこも抜かりはないようだ。
コースのメインは、3品。うなるようなものが続く。まず、低温調理された真鯛で、海のそばのレストランにいることを思い出させられる。つぎに、ウニとフランス産キャビアを載せた牛のタルタルステーキで気分がいっきに急上昇。そして、湘南地鶏を低温でていねいに火入れし、鶏じたいのうまみを使ったソースを合わせた一品で幸福な気持ちままデザートへと移っていく、というぐあい。


出かけていったのは、ハイパーSUV「アウディRS Q3スポーツバック」。小田原までのドライブは、このクルマの本領を楽しむにはやや短すぎる気すらする。スポーティなハンドリングマシンであるいっぽう、高速での乗り心地は快適。ドライバーは楽しい。
2020年11月に日本発売されたモデルで、まずいいところを3つあげろと言われたら、操縦性、スタイル、それに内装が思いつく。操縦性は、ダイレクトなステアリングと、オンザレール感覚の車両の動きがまるでスポーツカー。
スタイルは、新しい世代のアウディを感じさせるものだ。4505ミリの全長と2680ミリのホイールベースをうまく使って、広い室内をうまく創出しつつ、外板は、エッジのたったキャラクターラインを使って、アグレッシブな雰囲気を作りだしている。
とりわけ、フロントマスクは迫力がある。大きなグリル開口部に加えて、エアダムが大きく開けられている。たまに、大きな開口部に見えて、よく見るとダミー(開いていない)なんてクルマがあるものの、RS Q3はホンモノ。ネットの向こうに、ブレーキ冷却ダクトとターボチャージャーのインタークーラーがそなわるのだ。
294kW(400ps)の最高出力と480Nmの最大トルクをもつ2480ccの5気筒エンジンと、7段ツインクラッチ変速機の組み合わせもなかなか。マニュアル変速機の感覚でつながっていく変速機のダイレクト感は病みつきになる。
小田原駅そばの「MECIMO」で料理を楽しむ前後に、箱根のターンパイクをひとっ走りも、おいしいもの好きでクルマも好きというひとに勧めたいコースだ。

MECIMO(メシモ)
神奈川県小田原市栄町2-5-22 木戸ビル1F
駐車スペースあり
定休日 毎週月曜+不定休
Tel. 0465-20-3744
ランチタイム 3500円(平日のみ)と7000円
ディナータイム 1万円
ともに税とサービス料別
要予約
https://www.mecimo.com/