これがクラウン?

16代目の覚悟は
4つのスタイルを生んだ

7月15日に行われたワールドプレミアでトヨタの新型クラウンがアンベールされた瞬間、発表会会場に足を運んだ人も、オンラインで参加した人も、だれもが息を呑んだ。そのたたずまいが激変したうえに、一気に4つのスタイルが登場したからだ。クラウンは、なぜ変わったのか?

文=サトータケシ

トヨタは、日本の自動車産業の黎明期から愚直に突き進む自動車メーカーだった。
第二次大戦後、欧州メーカーと提携してノックダウン生産を行うことで技術を吸収しようとした国産メーカーが大半だったなかで、トヨタとプリンスだけが自社開発にこだわったのだ。そして1955年に登場したトヨペット・クラウンは、トヨタの乗用車として初めてアメリカに輸出された。

100年に一度のクルマの大変革期とされる今、クラウンは大変身を遂げた。新しい時代を迎えるにあたって、フラッグモデルであるクラウンが率先して変わったことが興味深い。新型クラウンの開発は、初代モデルの主査をはじめとする、15代にわたる歴代主査の想いを紐解くところから始まり、その過程で革新と挑戦こそがクラウンのDNAだということがわかったという。
そしてこの新型クラウンを理解するうえでポイントの一つとなるのは、ハイブリッドという日本的な考え方ではないだろうか。

メカニズム的には、エンジンとモーターの二者択一をするのではなく、両者の長所を融合させるトヨタ独自のハイブリッドシステムが、さらに進化している。
デザイン的にも、セダンとSUV、ステーションワゴンとSUVと言うように、異なるスタイルの長所を融合させている。
「和を以て貴しとなす」と説いた聖徳太子にも通じる、対立するのではなく融和を図る日本の文化と伝統を、最新のテクノロジーを用いて今の時代に合う表現をしたのが新しいクラウンなのだ。

そんなことを感じさせるクラウンを見ていると、日本の歴史を感じさせる場所や、新しいカルチャーを発信する場所など、知らなかった日本を訪ねてみたくなる。

新型クラウンのトピックスのひとつに、世界の約40の国と地域にグローバル展開するということがある。クラウンは単なる新型高級車ではなく、日本の文化と技術を代表する、いわば日本を世界に誇るモデルだ。世界でどのような評価を受けるのか、見届けたい。

CROWN “CROSSOVER”

Photo: CROSSOVER “G LeatherPackage”

Photo: CROSSOVER “G LeatherPackage”

CROWN “SPORT”

Photo: 開発中車両

Photo: 開発中車両

CROWN “SEDAN”

Photo: 開発中車両

Photo: 開発中車両

CROWN “ESTATE”

Photo: 開発中車両

Photo: 開発中車両