熱海の地主神が鎮座する「來宮神社」

熱海旅の始まりは、来福・縁起の神として古くから信仰される「來宮神社」から。ここは熱海屈指のパワースポットとして平日も多くの参拝者で賑わう。鎮守の森の樹々に包まれた入り口の赤い鳥居から本殿に向かう参道は綺麗に舗装されて歩きやすくなった。まずは本殿にお参りして、自然あふれる境内を散策する。

樹齢2100年を超える御神木の大楠

本殿隣の弁財岩の上に祀られている弁財天、参道右手の三峰社と左手の稲荷神社は塗り直され、全国からの参拝者を迎えてくれる。各社をお参りして、日常生活で気づかぬうちに昂った心を沈めたい。

弁天岩には蛇が鎮座していた

参拝後に必ず訪れたい人気のパワースポットは、本殿奥にある国の天然記念物にも指定された幹周り約24m、樹齢は2100年を超える御神木の大楠。「幹を1周廻ると寿命が1年延命する」や「心に願いを秘めながら1周すると願い事が叶う」と云われ、楠の前で手を合わせ、願いを込めて周回する人が後を絶たない。1周だけでなく何周もする強者もいるとか。

参集殿の屋上とテラスにあるオープンカフェ
入り口鳥居横にある「結び葉」のお団子はひとつずつ丁寧に焼いてくれる

來宮神社の神様に橙、麦こがし、百合根、ところを供えたところ大変喜ばれたという伝承がある。入り口鳥居近くの「結び葉」で、焼き目をつけたお団子を橙のタレや季節の餡から選び、地元産の橙やみかんを使ったジュースや神前冷酒と一緒に堪能したい。神様の好物を使ったお菓子や飲み物をいただくことで、参拝のご利益を十分に享受できるという説もあり、参拝と併せて楽しんでみては。

來宮神社

來宮神社 本殿

静岡県熱海市西山町43-1

Tel. 0557-82-2241

http://kinomiya.or.jp

アートだけでなく空間も景色も見逃せない「MOA美術館」

相模灘を見渡す高台に立つ「MOA美術館」は、2017年にリニューアルオープンした海の見える美術館。天気が良ければ初島や伊豆大島、房総半島まで見渡すことができる。現在、国宝3点、重要文化財67点を含む、約3500点の東洋美術作品を所蔵している。熱海の絶景とアートを同時に楽しめるのでおすすめだ。

リニューアルにあたり設計を担当したのは、現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主宰する建築設計事務所「新素材研究所」。屋久杉、行者杉、黒漆喰、畳など日本の伝統的な素材が使用され、現代的デザインが融合した新しい展示空間も見所のひとつ。

美術館入り口正面には長いエスカレーター。まるで現実世界からアートの世界へ誘う200mにもおよぶアートストリートの途中には、世界最大級の万華鏡に包み込まれる直径約20mの円形ホールもあり、入場前から期待感にあふれる。

メインロビー

メインロビーは、海の眺望がより美しく見えるように天井の高さを開口部へ近づくにつれて少し下げてデザインされている。高さ8m、幅32mの窓からは、季節や天気、時間帯によって移り変わる相模灘の景色が広がり、ソファーから眺めていると自分がその景色に同化していくような感覚も味わえる。

展示室入り口の床に貼られた敷瓦
黒漆喰の壁(左)がガラスへの写り込みを低減

展示室内は、黒漆喰の壁を配置することで、反射の少ない特殊ガラスへの写り込みを最小限に押さえ、数々の美術品が、より美しく見えるように設計されている。上部からの照明は工夫が施され、影が作品鑑賞の妨げにならないように、また作品が作られた当時に鑑賞されていた環境を感じられるよう畳の上に展示されるなど、こだわりの展示方法にも注目したい。

国宝「色絵藤花文茶壺」

美術鑑賞後は、丁寧に手入れされた日本庭園「茶の庭」で散策してもよし、相模灘を一望できる「the café」や鎧塚俊彦氏プロデュースのカフェ「La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka」で一服してもよし、庭園内にある「和食 花の茶屋」や「二條新町 そばの坊」で食事を楽しむのもよいだろう。

茶の庭にある三井家別邸城山荘内から移設した「唐門」

日本の伝統的素材や技法が活かされたモダンな空間で、贅沢なアート体験を楽しんで欲しい。

MOA美術館

MOA美術館外観

静岡県熱海市桃山町26-2

Tel. 0557-84-2511

https://www.moaart.or.jp

静岡県熱海市
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熱海へ自分を取り戻す週末旅に出かけよう 【後編】

都内から100kmほどの距離にあり、海を眺めながらのドライブも楽しめる熱海。風情ある温泉街の散策だけでなく、鎮守の森に佇む神社や相模灘を一望できる美術館を訪れたい。後編となる今回は、無為自然に過ごす宿「SOKI ATAMI」を目指す。

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