幻のランボルギーニが動いている!

午前9時を過ぎると、受付開始までまだ1時間近くもあるというのに、静岡県伊豆市の土肥金山駐車場には続々と参加車両が集まってきた。参加者のみなさんが、いかにこのイベントを楽しみにしていたのかが伝わってくる。

2月の風は冷たいけれど、真っ青な空と満開の土肥桜の濃いピンクが、鮮やかなコントラストを織りなしている。FIRST DRIVEが主催する初めてのCARS&COFFEEには、200台以上のお申込みをいただき、厳正な抽選の結果、50台にご参加いただくことになった。ちなみに、当初は40台の予定だったものを、予想よりたくさんの応募をいただいたため、急遽50台に増やしたという背景がある。

イベントの模様をお伝えする前にCARS&COFFEEについて簡単に説明させていただきたい。

これは愛車に乗って集まるミーティングで、アメリカ西海岸発の比較的新しい自動車カルチャー。といってもコンクールデレガンスのように敷居の高いものではなく、文字通り「コーヒーを片手にクルマの話でもしましょう」という、カジュアルな集まりだ。週末の朝に行われることが多く、基本的には参加費は無料。時として、「フランス車、大集合!」とか、「赤いクルマに乗っている人で集まりませんか?」というように、“お題”が設けられることもある。

今回のCARS&COFFEEに関しては「ドイツ車、イギリス車、イタリア車」に集まっていただくことにした。会場には自動車の教科書に載っているような伝説の名車から、ネオクラシックと呼ばれる1980年代から90年代のモデル、そして最新のスーパーカーまで、幅広いクルマが集った。 個人的に目が釘付けになったのが、1969年型ランボルギーニ・エスパーダ・シリーズⅠ。とある資料によればシリーズⅠの生産台数は200台以下とのことで、恥ずかしながらこのクルマが動いているのを見るのは初めて。そのスタイリングと低くて太い排気音を、目と耳に焼き付けた。

会場には協賛していただいた自動車メーカーの最新モデルも展示され、会場は一段と華やかな雰囲気となった。参考までに展示車両を列記すると、ジャガーF タイプ、ランドローバー・ディフェンダー、アストンマーティン・ヴァンテージ、ポルシェ911タルガ、ベントレー・フライングスパー。いずれも参加者の琴線に触れるモデルだったようで、記念写真を撮る方が後を絶たなかった。

また、かゆいところに手が届く品揃えでエンスージアストから支持されるショップ、ル・ガラージュの特別出張店舗にも、多くの参加者が集まっていた。

自動車カルチャーを日本にも根付かせたい

10時から受付が始まり、11時にイベント開始がアナウンスされる。

まず最初はCARS&COFFEEタイムで、西伊豆のスモールラグジュアリーホテル、「LAQUAT西伊豆」が出店したスペシャル屋台のサンドイッチと、移動型コーヒースタンドとして人気の「coffee cart SHAKA」のコーヒーを楽しみながら、至るところで談笑の輪が広がった。何人かの参加者に話を聞くと、異口同音に「同じ趣味を持つ者同士、初対面でも会話が弾む」とのことだった。

楽しくクルマ談義を交わしながら、参加者は入念にそれぞれのクルマをチェックする。なぜならコンテストも同時に行われているからで、気に入ったクルマに投票することになる。感心したのは、スマートフォンを用いたオンライン投票になっていることで、確かにこのほうが速くて正確だし、参加者からは「手間がかからないし好きなタイミングで操作すればいいから、気軽に投票できます」という声もあった。

こうして投票を終えると、12時からは「西伊豆アドベンチャー・ハッシュタグドライブ」となる。これがどういう企画かというと、会場付近をドライブして、気に入った観光スポットや絶景スポットで撮った写真を「#FIRSTDRIVE」「#西伊豆ファンドライブ」のハッシュタグとともにSNSで発信するというもの。SNSに発信した方は、会場で記念品を受け取ることができる。海水浴場としても温泉地としても有名な土肥だけに、参加者は風光明媚なドライブを楽しめたはずだ。事実、このハッシュタグでインスタグラムを検索すると、素敵な写真が数多くヒットした。

ドライブから戻ると、コンテストの結果発表。1位に「LAQUAT西伊豆」の宿泊券が用意されるほか、同ホテルのエステの利用券、F1のシャンパンファイトで知られるCARBONのシャンパーニュなどが入賞者に贈られた。

上位3台を紹介すると、3位が1964年型フィアット・アバルト1000ビアルベーロ。ビ(2つ)アルベーロ(カムシャフト)という名称通り、2本のカムシャフトを備えるDOHCエンジンを特徴とする名車だ。

2位は、1969年型ランボルギーニ・エスパーダ・シリーズⅠ。エスパーダとはスペイン語で「剣」を意味するけれど、鬼才マルチェロ・ガンディーニが手がけたスタイリングはいま見ても先鋭的だ。

そして1位が、1951年型ベントレー・マークⅥ。涌井ミュージアムのホームページによると、1946年から52年までにベントレー・マークⅥは5052台が生産されたヒット作だったという。オーナーのアレン・パーカーさんにお話をうかがうことができた。

「インターネットでこのイベントを見つけて応募しました。どんなクルマが来るんだろうと思っていたんですが、個人的に好きなクルマがたくさん集まったし、みなさんといろいろな話ができたので楽しかったですね。子どもにもクルマ好きになってほしいと思っているので、今日は家族で参加しました。申し込んだ時は西伊豆って結構遠いなと思ったんですが(笑)、海も空もきれいだし、高原からの眺めなんかも素晴らしくて、最高のドライブができました。機会があれば、また参加したいと思います」

クルマを楽しむという文化を日本に根づかせることが、このイベントの目的のひとつ。アレンさんの言うように、日本にはクルマで旅することが楽しい場所がたくさんあるし、その楽しみ方を次の世代にもつなげたい。今回のCARS&COFFEEは、そのきっかけとなったのではないだろうか。FISTDIRVEは、また別の場所でCARS&COFFEEを企画する予定だ。

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