鎌倉の隠れ里、佐助エリアでお気に入りを探す
夏椿
器と日常生活で使う道具を扱う「夏椿」は、2018年に世田谷の日本家屋から鎌倉の古民家へ移転した。鎌倉らしい曲がりくねった坂道の上、白い暖簾がかかった門をくぐり、昔ながらの引き戸の玄関からお邪魔する。建具や古家具は世田谷の店舗から持ってきたものから、古民家のリノベーションの際に再利用しているものもあり、趣ある古民家にしっくり馴染む。四季の花を楽しめる庭に面した部屋の中には、さりげなく野の花が飾られていて、まるで友人宅を訪ねてきたような感覚になる。
こだわりを持ってセレクトされた道具たちは、素材も種類もさまざまだ。器は陶磁器、漆器、ガラス、木工など、作家やサイズもバラバラなのに、一緒に並べると違和感がないのは、同じ世界観を持っているからだろう。一粒舎のレザーロングウォレットや天然染料で染められたマキマロの服など、使うことで表情が変わるものも多く、購入後の変化の楽しみも一緒に持ち帰ることができるのだ。
懐かしさを感じる古民家で、これから思い出を共有するお気に入りの道具を見つけてみては。
夏椿
Good Souvenir and coffee
日本らしい住宅地の中に、カラフルな看板が目を引くウッディな「Good Souvenir and coffee」は、まるで山小屋のような雰囲気。銭洗弁財天に訪れた観光客が立ち寄るだけでなく、近所の人たちがふらりとコーヒーを飲みに来る。店内から外に停められている黄色のワーゲンビートルにいたるまでコーディネートされている統一感を感じるのは、フリーのデザイナーをしている店主が少しづつDIYで手を加えているからだろう。
店舗に入って右手のカウンターにはコーヒー豆、ミル、ハンドドリップの道具が並び、3種類からコーヒーを選べるようになっている。オーダーが入ってから丁寧に豆を挽き、ハンドドリップでコーヒーを淹れている間、深呼吸したくなるような良い香りに包まれる。テイクアウトはもちろん、店内のテーブルでゆっくりすることもできる。このコーヒーを目当てに来たくなるほど、香りも味も抜群に美味しかった。
店内にたくさん並ぶオリジナルデザインのグラフィックTシャツ。デザインのモチーフには、鎌倉や店のある佐助エリアにちなんだものを選んでいるという。鎌倉の人なら誰もが知っているR134の飯島トンネルをモチーフにしたTシャツが一番人気。佐助エリアの源氏山の標高は93メートルしかないが、高い山のように思わせるデザインに、クスッと笑ってしまう。
鎌倉土産なら、普段遣いしたくなる「Good Souvenir and coffee」のアイテムがお勧め。自分のお気に入りも見つけて、ハンドドリップのコーヒーを楽しみたい。
Good Souvenir and coffee
もやい工藝
佐助エリアのトンネル近くにある木塀に焼き物の表札がかかる「もやい工藝」に一歩足を踏み入れると、緑に囲まれた別空間に迷い込んだかのような感覚になる。島根県出雲地方の伝統的な民家建築を参考にした建物に、ガラスを嵌め込んだ引き戸が映える。その引き戸の向こうには懐かしさを感じる厚みのある器が整列していた。
「地域に根差した伝統的な手仕事。美しく丈夫で、日々の生活で使用できるもの。奇をてらわず、同じものを繰り返し作ることのできる、しっかりした技術を持つ職人さんの仕事のものを、直接産地に赴き集めてくる」というこだわりのセレクトだ。
人気の商品は、大分県日田市の小鹿田焼の皿や飯碗、沖縄県読谷村北窯の松田共司工房や宮城正享工房の皿やマグカップ、星耕ガラスのガラス製品などの器のほか、竹やアケビなどカゴ類など全国各地を訪ねて選んだものばかり。偶然通りがかり来店する観光客もいるが、目当ての商品を購入するために遠くから訪ねてくる顧客も多いという。
いつもの料理を丁寧な手仕事で作られた器に盛り付けるだけで美味しさが増し、心が明るくなる。大胆な柄は難しそうに感じるかもしれないが、思い切って取り入れてみると使い勝手の良さに驚くはずだ。手に馴染むお気に入りの器を、時間をかけて選んでみたい。