旅の始まりはマルセイユ

国際映画祭で知られるカンヌ、風光明媚な高級リゾートのニース、そしてF1カレンダー上もっともリュクスなレースが開かれるモナコなど、“コートダジュール”とその名を広く知られるフランス南部は、美しいリビエラが地中海を縁取る、世界有数のエクスクルーシブなエリアだ。

長期休暇の“バカンス”に目がないフランス国民はいうにおよばず、国外からも富裕層がバケーションに訪れるため、ミシュランの星を授与された最高級レストランやオーベルジュが数多く点在している。

左:LC500hの背後に聳え立つのは、マルセイユ大聖堂。ドームのてっぺんにラテン十字を掲げる、壮大なローマ・ビザンチン様式の建築物だ。
海港都市として発展したマルセイユには、至るところに船着場がある。© Boris Stroujko

そんな世界有数リゾート地の玄関口のひとつとして知られる南仏主要都市・マルセイユが今回のスタート地点だ。地中海に面する海港都市で、人口はパリに次いで多い約90万人を誇る。古代より海運業で栄えてきたという歴史が背景にあるせいか、どことなく“海の男”を連想させるラフさと躍動感が街に漂っている。このフランス第二の都市を起点に、地中海ならではの太陽・食・おもてなしを堪能するのが今回の旅の目的だ。

マルセイユの空港を出発すると真っ先にカナユイ岬(地図上の「Parking Du Belvedere」)へと向かう。その後、地中海を望む断崖沿いをワインディングするクレット道路を引き続きドライブするとカシの街に到着する。

蒼い空との対比が美しい真っ赤なLC

「マルセイユではなんと言ってもサングラスが必需品よ!」。地元出身の友人が事前にアドバイスをくれていたように、マルセイユ・プロヴァンス空港に降り立つと、刺すような陽の光がジリジリと肌を照りつける。太陽の正面に立つとその眩しさに目を細めなくてはならないくらいだ。

それほどまでに日差しは強い。が、カラダを包みこむ地中海性気候特有の乾いた空気は爽快で、周囲の旅行客も瞬時にリゾートモードにギアチェンジしている様子がひと目に分かる。

今回、空港でピックアップしたのは、真っ赤な「ラディアントレッドコントラストレイヤリング」のボディカラーがその存在をさらに際立たせるLC500h。南仏の蒼い空とのコントラストも抜群だ。

初日の旅のハイライトである、カナイユ岬へと向かう。荒々しい岩肌と地中海のブルーのコントラストが印象的だ。

フランス最高峰の断崖、カナイユ岬へ

まずは腕試しとばかりにマルセイユ近郊をテストドライブする。ヨーロッパ大陸では大概がその例に漏れないが、LC500hで通り過ぎる街々も道幅が狭いところが多く、車幅の感覚をつかむまで、多少ヒヤヒヤする瞬間がある。時には可能な限り速度を落とし、背筋を伸ばして車体と壁の間の見えない距離を目測しようと試みる……。しかし逆説的に聞こえるかもしれないが、北米などでは決して体験することのないこの緊張感のおかげで、「あぁ、ヨーロッパに来たな」と実感するのも確かだ。 クルマのサイズ感やハンドリングの感覚が身についてきたら、まずは飛行機着陸の際、眼下に広がっていた眩いばかりの海岸線を目指してカナイユ岬(カップ・カナイユ)へと向かう。

草木や岩場の間からコバルトブルーの地中海が顔を覗かせる絶景ロードを行く。
荒々しい岩肌は、道路にせり出してくるかのよう。
一見荒々しい印象の岩肌だが、南仏の眩しいばかりの太陽を浴びて、美しい草花もその顔を覗かせている。

この時通過するのが「クレット道路(Corniche des Cretes)」と呼ばれるワインディングロードだ。荒々しい断崖絶壁に沿った道だけあって左右にくねるだけでなく、上下の移動もかなりのものだが、その間、迫り出したカーブの突端や絶壁の合間からはコバルトブルーの海面が顔を覗かせるなど、文字通り風光明媚な光景はほかでは得難い。

このクレット道路の途上にあるのが目的のカナイユ岬。標高394メートルもあるフランス最大の断崖であり、海岸に向かって白い石灰石の岩肌を剥き出しにした姿は「威容」という言葉がよく似合う。圧倒的なスケール感を体感するためにも、マルセイユまで来たら是非とも足を延ばしたいロケーションだ。

カシの中心街から歩いてすぐのところにある「カランク・ドゥ・ポール・ミュウ」。石灰岩の断崖に囲まれた自然保護施設に、無数の小型船が停泊している光景は、ただただ美しい。
友人や家族と午後の散歩を楽しむ地元の人々。
カシの街の海岸沿いに出ると、カナイユ岬の全容を眺めることができる。改めてその迫力に驚くことだろう。

カナイユ岬を後にしてクレット道路を進むと、南仏の景勝地の一つとしてその名を知られるカシの町に着く。「パリを見ても、カシを見なければフランスの魅力を知ったとはいえない」との格言があるほどの港町で、規模が異なるとはいえ荒っぽい印象のマルセイユに比べると、穏やかで品のある街の雰囲気が特徴だ。友人や家族と午後の散歩を楽しんでいる地元の人々の姿を見ても、リラックスしながらもどこか優雅な印象を受ける。

街としてはこじんまりしているが、地中海の幸を供するバラエティ豊かな食の数々や、海水浴、ダイビング、クルーズ船での地中海ツアーなどアクティビティも豊富に揃っていて、長年にわたってプロバンスの人々にも大いに愛されているという話も十分にうなづけるだろう。

3.5リッターV6エンジンにハイブリッド・システムを融合したラグジュアリー・クーペがLC500hだ。造形の美しさと走りの醍醐味を高次元で融合している。ワインディングにアップダウンとロードプロファイルがバラエティ豊かな南仏でドライブを堪能するのにうってつけのクルマといえる。
Marseille, France
TODAY
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レクサス LCで行く南仏プロヴァンスの旅 【中編】
ミシュランも認めた美食、“ツール”の最難関挑戦

南仏の旅2日目は、エリザベス女王、ピカソ、ハンフリー・ボガードなど世界のセレブリティが(ときに専用ヘリコプターまでチャーターして)訪れたというミシュラン3つ星レストランがスタート。プロヴァンスが供する海&山の幸に舌鼓を打ったあとは、ハンドルを内陸に向けて、自転車レースの最高峰「ツール・ド・フランス」でもっとも過酷といわれる山岳地帯、モン・ヴァントゥを目指す。

レクサス LCで行く南仏プロヴァンスの旅 【後編】
旅の終わりを飾るのはポール・リカール・サーキット

南仏を訪れた際に忘れてはいけないのが、数々の名レースの舞台を務めてきたポール・リカール・サーキットだ。世界の自動車愛好家がレース観戦やスポーツ走行のためにプライベート・ジェットをチャーターしてまでも訪れる聖地の一つとして知られている。サーキットから通りを挟んだ向かいにはミシュラン3つ星レストランを擁する超豪華オーベルジュも建ち、美食・レースの双方を堪能できる究極のデスティネーション。今回の旅を締め括るのにここに勝るロケーションはないだろう。

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