ラ・ヴィラの前にたたずむUX250h F SPORT。真っ赤なボディカラーが印象的だ。
20世紀初頭の古い鋳造所をリノベした、バルベリ・ラボラトリー。

RCRが誇るクリエイティビティの核心-古き鋳造所をリノベしたオフィススペース

周囲に風光明媚な火山帯が広がるオロットの街にあるRCRアーキテクツのオフィス。この場所こそが3人の天才建築家が世界へ向けて、詩情豊かな建築デザインの提案を発信してきた本丸だ。実際に訪れてみると、スター建築家が集まる大都市に居を移すことなく、超がつくローカルな地元に根付いて続けてきた創作活動がプリツカー賞へとつながったことの意味の大きさを実感することができる。

所員スタッフを前に語るアランダ氏。

「バルベリ・ラボラトリー」と名付けられたこのオフィススペースは、20世紀初頭の鋳造所をリノベーションしたもの。しかし“リノベ”といっても、RCRが世に放った他の建築作品同様、鋳造所のありし時代の姿がありのままに残っている。

必要な箇所に最低限の“手入れ”を施した第一印象だが、アートインスタレーション(のようなもの?)や、ガラス張りで現代的な佇まいの “離れ”など、古きと新しきの融合もまたRCRのシグニチャーといえるスタイルだ。

“リノベ”といっても往時のありし姿がそのまま残されている。
鋳造所時代の古いオブジェなども大事に残されている。
照明は極端に少ないが、綺麗な自然光が建物内に注ぎ込む。

この建物の中でも、壁一面に膨大な書籍が並んだひと際大きな部屋に、これまた巨大なテーブル一つを共有してアランダ、ピジェム、ビラルタの3人が仕事をするオフィスフロアがある。まさに「3人集まれば文殊の知恵」を体現するかのようなワークスタイルで、3人のフラットな共同作業によってクリエーションの種を生み、それを具現化していくプロセスがここを起点に始まるのである。

自由にクリエーションを開花する

バルベリ・ラボを後にして、次に向かったのが小高い山の麓に広がる「ラ・ヴィラ」だ。RCR のクリエイティブな研究・考察を促進するために開かれた建築研究施設とも言うべき建物で、その目的について、「建築と自然をリンクさせるRCRの試みをさらに深化させる」ことにあるとビラルタ氏は説明する。

140 ヘクタールにもおよぶ広大な敷地のなか、ビラルタ氏に導かれて鬱蒼とした森を進んだ先には、無数の透明な円盤を水滴に見立てた野外インスタレーションがその姿を現す。ここは世事を離れてクリエイティブな思考に没頭したい時、自然の中に身を置き自身のルーツに戻るための場所として作られたという。

ラ・ヴィラへ向かうアプローチ。見ての通り周囲を見渡す限り人家すらまばらな郊外にある。
シンプルに「RCR」とだけ記された鉄の表札。ここにあると知らなければ決して辿りつかない場所にある。
右の建物がラ・ヴィラのメイン棟。敷地内には宿泊施設のほか、工房、研究施設などがある。

その後ラ・ヴィラの建物に戻ると敷地内に建設予定という「紙のパビリオン」の模型を見せてくれた。この紙のパビリオンは、90 年代に初めて日本を訪れ、日本の美について大きな影響をうけた彼らが信頼を寄せる日本の友人から紹介された「吉野の森」が深く関係している。これは奈良県吉野町の人々と協力した日本文化との懸け橋となるプロジェクトで、作品には日本が世界に誇る吉野の木材(=杉)と柔らかな内皮を用いて作る伝統的な和紙を随所に使用する予定だという。このプロジェクトにも、RCRが目指す建築と自然の融合は如実に現れている。

透明な円盤を水滴に見立てたインスタレーションへと案内してくれたビエルタ氏。
メイン棟の内部には「夢」と大きく書かれた書の作品も掲げられている。
ラ・ヴィラ内に建設予定の「紙のパビリオン」には日本の吉野杉と和紙がふんだんに使用される予定だ。
敷地内はどこに足を向けても静謐で質の高い空間と時間を体感できる。

このように世界中から優秀なスタッフが集まり、リアルなプロジェクトが進行する実務の拠点であるバルベリに対して、ラ・ヴィラは現場から距離をとり、クリエイティビティを自由に開花させるための場であるといえる。その取り組みはもはや現代アーティストのごときだが、この両者の絶妙なバランスこそが、RCRの他にはない強みの土台となっているのだろう。

スペイン オロト
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