UXのポテンシャルを“丸裸”にする
日本文化と邂逅することで創造力の羽をさらに広げたRCRによる革新的な建築の世界を後にすると、今度は、F1 スペイン GP の舞台であり、またモータースポーツの「聖地」の一つに数えられるカタロニア・サーキットへと向けてUX250h F SPORTのハンドルを切った。
1991 年に建設された全長約 5 キロのレーストラックは数々の名勝負を生んできたが、近年では F1 のプレシーズンテストの開催と同時に、ワールドチャンピオンを目指してしのぎを削る各チームが、最新 F1 マシンを全世界にお披露目する場としても広く知られている。
高低差のある土地に横たわる全長 1 キロのロングストレートから中低速・高速コーナーが織り交ざるレイアウトで、マシンの総合力が幅広く試されるサーキットの特性がその理由だろう。 つまり、カタロニア・サーキットで UX250h F SPORT を走らせるのは、このクルマのポテンシャルを“丸裸”にする絶好の機会ともいえる。
スタート/フィニッシュラインから力強くアクセルを踏み込むと、2 リッター直列 4 気筒エンジンは軽快にレスポンス良く加速し、瞬く間に第 1 コーナーに進入。重心が低く、精緻なステアリングと視界の良さは前評判通りで、その後もアップダウン、中低速、高速コーナーを鋭くも安定した走りで走破した。文字通り世界中のサーキットトラックで鍛え上げられた、F SPORT の実力を十二分に感じることのできるホットラップとなったのである。
これからの時代にあるべきクリエイション
情熱の国・スペインと、侘び寂びの国・日本。一般的な両国の審美眼的イメージからすると両極端に位置すると思うむきも少なくないかもしれない。しかし、UX250h F SPORTを駆ってスペイン南部の旅を通して見えてきたのは、その二つが共通点を見出し、全く新しい、感動の造形を生み出してきたという純然たる事実であった。
地理的距離、文化圏、歴史という時空を飛び越え、お互いが理想とするもの、本当に良質と確信するものを融合して新たな価値観を生み出すという行為に、建築に限らずこれからの時代にあるべきクリエイションの姿を垣間見た気がした。