スーツを着て、ハッセルブラッドで撮影する。
ゲレンデヴァーゲンにいたるまでのクルマ遍歴は?

山本

まず、子供の頃に家族とクルマに乗った記憶を教えてください。いつ、誰と、どんなクルマに乗りましたか?

長山

親が教師で、クルマが必要ない家庭でした。親がクルマを初めて買ったのが、僕が高2のころかなぁ、僕よりも後に免許を取りました。僕が先にバイクの免許を取って、それまでは、乗るとしたら、旅行先で乗るタクシーくらい。横浜に住んでいたので、家の近くは、ほぼ電車移動です。たまに、どこかに出かけるときに、友達の親のクルマに乗って行ったくらいの記憶しかなくて。

山本

ということは、都会の人のクルマがない生活の典型ですね。

長山

そもそも、クルマの免許を持っていなかったので。

山本

では、最初に自分で買ったのはバイクですね。何を買いましたか?

長山

アメリカンタイプの、ホンダのスティード。

山本

アメカジ好きだったんですか?

長山

古着屋ばかり行っていました。映画を見出したときだったので、「イージーライダー」を見て、味のある男がかっこいいなと思って。それくらいからですね、バイクやクルマに興味を持ったのが。子供のころは、むしろクルマに酔うのが嫌で、乗りたくないと思っていましたね。

山本

最初にクルマを買ったのは、何歳のときでしたか?

長山

アシスタントのときにはクルマ持っていなくて、クルマを買ったのはカメラマンになってからです。仕事をある程度するようになって、すぐに欲しいなと思って。すごく稼いでいるわけではないので、買える範囲でとりあえず荷物を運べるクルマとして、フォルクスワーゲンのパサートというステーションワゴンを買いました。

山本

そのときに、アメ車の選択肢はなかったですか?

長山

なかったですね。アシスタントやスタジオマンのときに、シボレーのデカいのに乗ってくるカメラマンもいました。デカいクルマがカッコイイなとは思っていましたが、アメ車が欲しいと思ったことは一度もない。スタジオマン時代にいろいろなカメラマンが乗っているのを見ると、いいなと思うのは、やっぱりベンツかボルボでした。

山本

別に、アメ車だから壊れやすいとは思わないんですが、仕事で使うとなると、止まったりしたら嫌ですもんね。

長山

80年代のベンツ123のセダンに乗っていたことがあって、2回くらい壊れてしまって、それで凝りました。そのときは、ランドクルーザーとの2台持ち。ランクルもロクマルといわれる1980年代の古いクルマでした。古いクルマ2台だったら、どうにかなるかなと思ったのですが。

山本

やっぱり、2台のうち、どちらかが新しくないとだめでしょう。

長山

そう。その前に、パサートのワゴンの後にポルシェカイエンに乗りました。カイエンが壊れたときに、ヴィンテージカーにも憧れがあって、ベンツの123と、荷物が積めるという意味でランクルの2台持ちにしました。

山本

フォルクスワーゲンパサートのあとに、いきなりカイエン。それ、今の長山さんのスタイルとちょっと違いませんか?

長山

なぜカイエンを買ったかと言うと、VWパサートに乗っていたので、トゥワレグに乗り換えよう思ったんです。ディーラーに見に行ったら、隣にカイエンが展示していて、どちらも中古で200万円ぐらいしか価格差がなかった。当時の僕の貯金は5~600万円ぐらいしかなくて、600万円の貯金で500万円のカイエンを買うか、300万円くらいのトゥワレグを買うかという感じ。ディーラーの人から「カイエンを買わなくて、後で買えばよかったと後悔することはあっても、その逆は多分ないと思いますよ」と言われて、確かにそうだなと思ってカイエンを買いました。

山本

売り言葉がうまい。

長山

カツカツでしたけど、別に結婚もしてなくて独り身だから。まだ独立して3年くらいしかたっていなかったですが、調子に乗ってカイエンを買って、そのときは、叩かれた時代です。

山本

叩かれたって?

長山

あいつ調子に乗っているなと言われて、まだ20代ですし。

山本

アシスタントからカメラマンとして独立したのはいくつのとき?

長山

25歳のときです。

山本

早かったですね。

長山

はい。アシスタントを始めたのが、けっこう早かったので。

山本

芸人さんが「いいクルマに乗ったり、いい所に住んだり、自分の身の丈以上をやった方が、それに仕事が追いついてくる」と言うじゃないですか。長山さんは、ちょっといいクルマに乗って、調子に乗っているぐらい、飛ばしてやろうという思いもあったのですか?

長山

ありましたね。しかも、独立した直後は、僕の師匠の世代との繋がりもあって、ちょっと年上の人とやることが多かったので。

山本

なるほど。年上のスタイリストさんとか制作担当の人とか。

長山

でも、先輩たちが「あいつ調子に乗っているな」といっている声をよく聞いていて。あまり気にしない性格だったので、別に大丈夫でした。

山本

カイエンは、スタイルとか乗り味とかは気に入っていましたか?

長山

正直にいえば、便利なクルマぐらいにしか思ってなかったです。荷物も積めるし、大きくて、見た目もいい。ただ、カメラマンをやっていると、どんなクルマを買ったとしても、道具なので、高級車に乗っている感覚がなくなってしまう。乗りやすいなとは思っていましたが、スタイルを問われると…まだ自分も、今みたいになってなかったので。

山本

今みたいというのは、スーツを着た長山スタイルを確立していなかったってこと?

長山

はい。今から思うと、他の人から見たら僕の身なりとクルマがちょっとミスマッチ感はあったかも、とは思います。ただ、そのときは気にしていなかったですけど。

スクエアなデザインで機材がしっかり積める。
それが、ゲレンデヴァーゲンを選ぶ理由

山本

ゲレンデヴァーゲンにいきなり行く選択はなかったですか?

長山

そのころは、ゲレンデがいいと思ったことがなかった。あまりにもゲレンデに乗っているカメラマンが多くて、魅力的に見えていなかったです。

山本

そうか、そんな感じか。

長山

はい。それで、一回ヴィンテージカーにいって、それが壊れて仕事にならないとなったタイミングで、やっぱり新しいクルマで荷物が詰めるとなると、レンジローバーにするかワゴンタイプにするかゲレンデヴァーゲンにするかしか選択肢がなかった。新しいレンジローバーは荷物があまり乗らないし、ランドクルーザーは自分のスタイルにはカジュアル過ぎる。そうなると結局ゲレンデしかないなと思って、今のクルマでもう3台目のゲレンデです。

山本

3台乗り継いでいるのは、けっこう走行距離がいったから?

長山

リースで乗っているので、3年か5年リースで乗り換えています。壊れたりはしていませんが、リースが満期になったら新しいゲレンデヴァーゲンに乗り換えて。

山本

乗るクルマで、自分のファッションや聞く音楽や運転の仕方が変わったりしますか?

長山

ゲレンデヴァーゲンで変わったりはしていないです。本当は、映画「アメリカンジゴロ」の主人公が乗っているベンツSLのR107を一度所有したいなと思っています。ただ当時のSLは車内が狭くて、ハンドルが足に当たって、頭も天井にスレスレ。試乗したのですが、すごく欲しいけど、あまり乗らないかもなぁと思って。

山本

そう。旧車を買っても、2台持っていると便利なほうに乗ってしまいます。

長山

そこからは、結局ずっとゲレンデヴァーゲン。ヴィンテージカーに乗る理想は遠のくばかりです。しかも2シーターだと、いくら趣味カーだったとしても何のために乗るのかと、妻からの指摘もありますし。しかも、ベンツSLののR107は今は値段が高くて1000万円くらいするので、そんなので遊んでいる暇はないかなと。

山本

クルマを選ぶときに、家族の意見はけっこう重要ですか?

長山

ゲレンデヴァーゲンの他に、妻用に少しコンパクトなベンツGLCを所有していて、買うとなったら3台目になってしまう。そうすると、ちょうど子供が受験をして、二人を私立校に行かせる可能性が高いので、SLを買うのはちょっと厳しいかなという感じです。

山本

私はそろそろ最後のクルマがちらつくタイミングで、一度はピックアップトラックに乗りたいと思うのですが、いろいろな人から「なにを積むの?」と言われます(笑)

長山

SNSをやっていて、仮にベンツSLを買ったとしても、スーツ姿ばかりをアップしている「ジェントルマン」アカウントのインスタのネタにしかならないかなと思って。

山本

クルマに乗って家族で遠出することはありますか?

長山

さすがに、遠出にベンツGLCでは小さいので、ゲレンデヴァーゲンで出かけます。

山本

よく、乗り味が固いといわれますが、家族に文句を言われませんか?

長山

新しいゲレンデヴァーゲンは、シートも変わって乗りやすいし、ハンドルも軽いですよ。

山本

そういうときに、車内で家族とどういった話をします?

長山

基本は、会話ナシ。僕はけっこう無音が好きで、音楽もかけない。窓が閉まっていて、走っているノイズを聞いています。仕事で写真のレタッチをしているときも、集中しているときは無音。眠いときくらいかなぁ、音楽をかけるのは。長距離で運転をするときも、ずっと無音です。

山本

長山さんのそのスタイルは家族にも浸透して、クルマでは家族もしゃべらないのですか?

長山

はい、家族は寝ていますね。子供は後ろの座席でYouTubeを見ているか。自分が子供のときにも、クルマでキャンプに行ったりしていなので、今もアウトドアではなくて、温泉のある旅館に直行するクルマ旅がほとんどです。

山本

無音が好きという意味では、クルマは無音になるすごくいいスペースですよね?

長山

はい。だからクルマの中で過ごすのがすごく好き。例えば、打ち合わせまでの時間があくようなときに、家まで帰るほうが逆に疲れるので、クルマを停めて過ごすことが多いです。

山本

クルマで、何をしているの?

長山

スマホを見たり、撮影した写真データのセレクトをしたり。

山本

ああ、クルマのなかで仕事もするんですね。

長山

あとは、アイスを買って食べているとか(笑) 誰もいない自由な時間は、家に帰ってもないですから。息子の宿題をみたりしていると、落ち着けるタイミングは家族が寝た後くらいで、そうしたら自分も眠いですしね。

山本

なるほど。

長山

散髪をしている45分間とか、クルマの中とか、新幹線や飛行機移動の時が、何にもとらわれなくて、いちばん一人になれる。

山本

空き時間で一人リラックスするために、いつもクルマを停める場所があったりしますか?

長山

外苑西通りの国立競技場から月星製靴の辺り。

山本

確かに、あのあたりは停めやすそうですね。

長山

たまにあそこにあるミニストップでアイスを買っています。あと、よく停めるのは、家に帰る途中の新宿中央公園の十二社あたり。ブラジルという喫茶店に寄ったりします。公園と公園の間の歩道橋の下は、クルマの窓を開けて煙草を吸っても雨に濡れないので、よく停めています。

若き日にやりたかったリストのひとつが、
オーダーでスーツを作ることだった

山本

長山さんがスーツを着る今のスタイルにガッチリ決めたのはいつですか?

長山

2017年くらい。6~7年前です。

山本

それは、そうしようと決意したのですか?

長山

はい。2016年~2017年にやりたいことを紙に書いて、それを全部実行しようと考えました。その中に、スーツをオーダーで作るという項目が書いてあって、今まで経験していない中で、スーツをオーダーで作るのはすぐにやろうと思えばできるから実行しようと思って、もう、明日行こうとなった。スーツのスタイルとしてアメリカンで自由な感じがいいなと考えて、それがどこで作れるのかわからないから、ブルックスブラザーズかラルフローレンを候補に考えて、まずはラルフローレンに行きました。そこでオーダーしたスーツが一着目で、ダブルブレストのゆったりとした感じがよくて、イメージ通りにできて。そこからけっこう楽しいなと思って、違う生地でも作りたくなって、二着目のスーツをすぐに作りました。そうなってくると、せっかくスーツを作っているのだから、日常でも着たいなと思ったんです。

山本

フォトグラファーの仕事や日常でスーツを着るには、ひとつハードルがありますよね。

長山

最初は、現場にスーツを着ていくと、どうしたのって聞かれたり、ネクタイまでして何かあるのと言われたりしました。それが面倒くさかったのですが、半年ぐらいそのスタイルを続けたらそれが普通になるだろうなとわかっていたので、これはもうできる限り続けようと。最初はスーツの種類がないので、同じものばかり着ていました。ある日、スーツのスタイルがそろそろ定着しつつあったタイミングで、休みの日のロケハンに千葉の山のほうに私服で行ったんです。

山本

スーツを着ないでね。

長山

はい。そうしたら、偶然そこに知り合いの撮影クルーが来ていて、「あれ長山さん、こういうときはスーツを着ないの?」と言われてしまいまして。しまった、せっかくスーツしか着ないイメージを貫いて、定着しつつあったのに、すきを見せてしまったと反省しました。

山本

それ以来、今は普段でもスーツを着ているのですか?

長山

家にいるときは着ないですよ。出かけるときで、仕事にまつわるときには必ず着ます。スーツは仕事着だと言っていますので。さすがに、子供とプールに行くときはヘンなので着ませんよ。それ以外は、海外ロケでも飛行機の中でもクルマを運転するときでも、スーツを着ています。

山本

飛行機に長く乗るときやクルマの運転をするときに、着ると動きづらいなとか、スーツをストレッチ素材にしようかなとか考えますか?

長山

そういった状況も想定して、動きやすい仕立てにしているので気にならないし、シワも気にならない生地を選んでいます。オーダーするときに、スワッチ(生地見本)をクシャクシャに丸めてみて、好きな生地の中でもシワにならないものを選んでいます。

山本

それは、すごく的確なやりかたですね。オーダーでテーラーの実力を見極めるときに、「立ち仕事が多いですか? 出張にもスーツを着ていきますか?」などと尋ねながら、生地やスタイルやサイズをサジェストするのが、いいテーラーですから。同じ体型だから同じサイズのスーツを作ればいいというのは、間違っているので。長山さんは、その域に早々にたどり着いたわけですね。

長山

動くのが仕事ですし、クルマも毎日乗るし、撮影でしゃがんだり立ったり、腕を上げなきゃいけないし。それを全て伝えて、それに応えられるスーツじゃなきゃ嫌だったので。

山本

パターンオーダーとか、フルオーダーでも、「いや、そんなところに余裕は持たせません」と言うテーラーもいるじゃないですか。長山さんは、そこはしっかり主張するんですか?

長山

できないなら、作らないと言います。何回かありました。そういうところには行かない。とはいっても、全部が全部が気に入っているスーツでもなくて、初めて作ったラルフローレンもたまたまうまくいきましたが、やっぱりジャケットの丈を数センチ長くしたいなとか、股上をもうちょっと深くしたり、裾幅をミリ単位でいじったりしています。

山本

こだわっていくと、微差が気になってきますよね。

長山

行きつけにしているテーラーケイドは、ビスポークのフルオーダーなのでそういったことはないのですが、その満足感はパターンオーダーでは無理。そうなってくると、テーラーケイドでスーツを作るって決めています。

山本

着ているスーツは、ほぼテーラーケイドのオーダー?

長山

いろいろなスーツが欲しいとは全く思わなくて、ほぼ同型で作っています。テーラーケイドは、僕の趣味を完全に理解してくれているので。

山本

そのほうがいいです。同じところにずっと行くと、深まりますから。

長山

寿司屋と一緒ですよ、あちこち行ってもね。

山本

その通りです。何度が通って初めて、いちばんいいネタを出してもらえる。

長山

先日ロケでロンドンに行ったときに、せっかくだからと思ってサヴィルロウのテーラーでスーツをオーダーしました。ただ、初めて行って、いきなりいいスーツはできないだろうなぁと予想しています。それも含めて、勉強代かなと。

山本

サヴィルロウでも、いろいろなテーラーがありますしね。

長山

フランスのシャルベのシャツのオーダーは素晴らしい。気に入ったパターンができていて、パリに行くたびに、同じ形で、生地だけ選んで3~4枚オーダーします。

山本

ビジネスパーソンには、シャツは自分の体にぴったり合ったものを着て欲しいと話します。

長山

テーラーケイドでもシャツのオーダーをするのですが、ブランドの既製品シャツを買うほうが高かったりします。

山本

そう。シャツはオーダーがいちばんです。

長山

シャルベで、僕は右手に腕時計をしているからシャツの袖が引っかかるのが嫌だと伝えたら、きちんとサイズを変えてあげてきました。洗ってちょっと縮んだのですが、二回目にオーダーするときにミリ単位で調整してズバッと合わせてきましたね。襟は高すぎると苦しいから嫌で、少し低くして欲しい、ただし、レギュラーカラーよりも少し襟を長くしてほしいと伝えたら、理想通りのシャツが上がってきました。ポプリンの生地で頼んだときに、日本で同じ生地を頼んだときより、少しドレッシーな雰囲気に仕上がってきたのも驚きましたよ。

ゲレンデヴァーゲンは最後の選択か!?
それでも乗りたいクルマは、まだある

山本

クルマは買った後に、改造したりしますか?

長山

僕は、あまり詳しくなくて。クルマにこだわっていない感を出して、超ノーマルのまま乗りたい。

山本

わかります。旧車でも、ノーマルがいちばんかっこいい。

長山

販売されたままがいちばんいい。ホイールを変えたりオプション付けたりしないで欲しい。

山本

カメラマンにとっては、クルマは道具ですものね。

長山

例えば、カメラにもオプションを求めません。シャッターが押せて露出が間違ったりしなければ、それ以上をカメラに求めることはない。手振れ補正の機能さえいらない。それは、カメラマンがやることだから。

山本

そうですよね。

長山

クルマを選ぶのも、カメラを選ぶのと一緒の感覚です。限定車のなんとかエディションとかも興味はないです。

山本

乗っているゲレンデヴァーゲンは気に入っていますか?

長山

そうですね。ちょっと無敵な感じがあります。これ以上のクルマを見つけるのがたいへん。

山本

ああ、最後の選択みたいな感じ?

長山

やっぱりゲレンデヴァーゲンになってしまう。新しいレンジローバーはデザインが丸っこくなっているから、積むところが小さいし。自分の持っているヴィンテージの椅子を撮影場所まで運んだりするので、それをポンと詰むと考えると、他には機材車にする以外には選択肢がない。

山本

そうなると、この先、買うとなると、趣味車くらいですか?

長山

カメラマンをやっている以上は、そうなりますね。

山本

究極のクルマにたどりついちゃった感じだ。

長山

スピードにも興味がない。どちらかというと、ビジュアルで生きてきたので、趣味車の候補で話したベンツSLもビジュアルで欲しいと思ったんです。仮に中身が新品になっていてもいいぐらい。旧車の走りのニュアンスはなくなってしまうかもしれないけど、それでもいい。

山本

海外には、そういったビジネスをしているところもありますね。長山さんはやりたいことリストを順々に実現している感じですが、クルマもたどり着いてしまいましたね。

長山

そうですね。2シーターだけは乗っていませんが、それはそうとうに羽目を外さないと買える状況ではない。家族を無視するとか、ひとり身になるとかするくらいじゃないと、それは乗れないでしょうね、残念ながら。

打ち合わせでも、撮影でも、長山さんはスーツを着て登場する。その時点から、長山さんが撮る写真の空気感がその場に漂うように感じる。まだ、シャッターを切っていないのに、だ。数年前に、やりたいことのリストを書き出してみたという。その一つだった「スーツをオーダーする」を、すぐにやってみたとき、今の長山スタイルは確立されたのだと思う。「フォトグラファーにとってクルマは道具。カメラと同じ」。撮る写真も、着る服も、乗るクルマも、長山さんの審美眼は真っすぐで、ぶれがない。今日もスーツを着て、ゲレンデヴァーゲンに乗って撮影に向かう。それでも、「2シーターのベンツSLに乗る」のリストは、やりたいことの中からまだ消してはいない。

長山一樹(ながやまかずき)

1982年横浜生まれ。写真の専門学校を中退し、2001年に麻布スタジオに入社。2004年にフォトグラファー守本勝英氏に師事。2007年にフォトグラファーとして独立して、現在はマネージメントオフィスS-14に所属している。メンズ、レディスを問わず数多くのファッション誌で活躍し、コマーシャル撮影でクライアントからの指名も多いトップフォトグラファー。アーティストの一発撮りパフォーマンスを発信するYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」では、写真と映像の撮影監督をしている。撮影で使用する愛機はハッセルブラッド、35mmカメラと比べると機動力が落ちるが、スナップ感覚ではなく、「こう撮る」と決めて被写体を真っすぐ撮る感覚が気に入っているという。撮影のときもクルマを運転するときも、スーツを着こなす。フォトグラファーとしてのインスタグラム@kazuki_nagayamaの他に、別アカウントの@mr_nagayamaではスーツ姿のライフスタイルを発信している。

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